●木造住宅豆知識●



木造住宅が人に優しいという結果を別のページでお話しましたが、
この結果には木肌が見えるということが大きく関わっていると思います。

どういうことかというと、木の表面は色合いや木目などが精神的に落ち着か
せる効果があるということや、見えているということは木の香りなどもより感じ
られ、又、木自身が吸放湿しやすいということが考えられるからです。

ここでは木を見せることを前提に話すので、昔から日本にある、木造軸組
工法についてお話します。
(在来工法ともいわれています。)

まず構造的なお話ですが、40年程前までは木造の建物は、地震に対抗
するのに、自らしなることによって力を逃がす構造をとってきました。

ですから、昔の家やお寺には基本的に「筋かい」と呼ばれる斜め材が
入っていません。この筋交いが入ると、建物が固められてしまい、しなり
にくくなってしまうからです。これは例えるなら柳の木のようなものでしょうか、
力を加えてもしなってその力を逃がしてしまうからです。

それともうひとつ今の建物と違うのは、
昔の建物は足元を固定していなかったということです。
昔の建物は20cm角くらいの束石と呼ばれる、
石を敷地に並べておき、その上に束と呼ばれる木製の柱を乗せていくだけ
の構造でした。

これは例えるなら「だるま落とし」のようなものでしょうか、力を
加えると平行に「ずれる」ことによって力を逃がしてしまうからです。

なにかこれを見ていると自然に逆らわず、むしろ一体になって地震に対抗
してきたこの方法は日本人的な考え方だなあとつくづく感心してしまいます。
「柔よく剛を制す」といったところでしょうか?

でも今の木造は全く変わってしまいました。一言でいうと「ものすごく剛」
です。力には力で対抗する。
これも別のページで話したように、住宅金融公庫
の基準がこうでないとダメであったため、こうするしかなくなってしまいました。
また部材数の増えた現在においては、建物が動くというのはなにかと不都合が
多いのも事実です。


まず、「しなり」ですが、これは
筋かいなし → 筋かいあり → 板による面剛性の確保
と言う発展を遂げてきました。


どういうことかというと、まずしなる構造はやめて、筋かいで固めましょう。
ということで筋かいで固めてはみたものの筋かいの交点に力が一点集中し
て壊れることがあったため、柱や梁の外側から構造用合板と呼ばれる、
板を貼ってしまって、一点に力が集中して破壊するのを防ごうと言う結果
になったのです。


次に「ずれ」ですが、 束基礎 → 布基礎 → ベタ基礎
という発展を遂げてきました。


どういうことかというと、束は点状に分布していたので、まず線状につなげて
より固めようとしました。その上で今までは束石の上に乗せていただけの柱を
ボルトで固定しようということになりました。これによって「ずれる」ことは
不可能になりました。それだけでは、まだ不足だということになったのと、床下
の湿気を遮断する目的で、今度は床下全面にコンクリートを打つ、「ベタ基礎」
が主流になりました。

また、かつては木材どうしを「オス」と「メス」に「ほぞ」というものを
刻んで組み合わせるだけ
だったのですが、これだけでは地震に対して弱いと
いうことで、組んだ上からの金物貼付による補強が義務付けられました。
(大多数の木造住宅が採用している工法で仮にこれを金物外付工法とします。)

ただこの金物に関する基準が非常に複雑なこともあり、きちっと施工されて
いるかどうかは設計者と施工者の技量と良心にかかっているというのが現状です。

それと同時に「メス」側になる柱等で問題になるのが、「断面欠損」
いって材自体を掘り込んで、溝を作るので、その部分が構造的に弱くなって
しまうことをいいます。

これらの問題を解消するのに生まれたのが、金物を木材の中に内蔵してしまう、
金物内蔵工法です。

これであれば、工場で金物が内蔵されてくる上に、断面欠損もほとんどなく、また接合強度自体
もはるかに強くなるので、構造的な面だけを考えるとかなり優れています。またこの工法には
各社から数多くの工法が出されています。

ここで金物外付工法と金物内蔵工法の長短を説明します。


金物外付工法


 ○ 金物が見えないので見た目がきれい。
 ○ どこでもやっている工法なのでどの大工さんも慣れている。
 × 種類があまりにも多く、確実な施工が行われている場合が少ない
 × きちんと施工されても金物内蔵工法に比べると接合強度は落ちる。
 × 金物自身の問題ではないが、断面欠損が多くなってしまう。

金物内蔵工法


 ○ 断面欠損が少ない。
 ○ 金物外付工法に比べて接合強度が高い
 ○ 金物内蔵なので、確実に適切な金物が選択される。
 × 木材を見せる構造にした場合、金物が見えてしまう。
   (工法によって見え方がだいぶんちがいます。)
 × 現場の大工さんが施工になれていない場合が多い。
   (工法によって難易度がだいぶん違います。)
 × 工法自体がフランチャイズ化されているものが多い。
   (そうでないものもあります。)
 × 構造材とセットでの販売となり、自由に樹種を選べない場合がある。
   (そうでないものもあります。)

というようなことになります。


金物内蔵工法にはありとあらゆる工法がありますが、選択基準としては、
以下のようなものがあります。

これらのことを元に金物内蔵工法を絞り込みます。


次に木材自体の話をしたいと思います。
木材にとって重要なことのひとつに「含水率」というものがあります。
木材というものは、切り倒して必要な寸法に加工してしまえばそれですぐ使える
のでしょうか?これでは使い物にはなりません。

というのも、切ったばかりの木はついさっきまで生きていたので水分を
たくさん含んでいます。木材というのはこの水分が抜ければ抜けるほど、
つまり「含水率」が低いほど、強度が高くなるのです。
それともうひとつ、
乾くまでの過程で木材は、収縮したり曲がったりといった変形を起こします。
それらが終わったあとで家を建てるようにしないと建ててからゆがみがどんどん
発生してしまうことになります。ここで乾燥の方法ですが、
天然乾燥と人工乾燥があります。これもそれぞれ長短があります。


天然乾燥材


 ○ 色・艶が美しく木の香りも強めに残りやすい。
 ○ 含水率が高くなりやすい。
 × 乾燥に時間がかかる
  

人工乾燥材


 ○ 含水率を低く保ちやすい
 ○ 比較的早く乾燥できる。
 × 天然乾燥に比べると、多少色がくろずんでしまう。
 × 天然乾燥に比べると、木の香りがとんでしまいやすい。

というようになります。
ところが、どちらにしても乾燥しにくい場合があります。

それは部材の寸法が大きい場合です。住宅の場合2階の床梁(床の下の
水平材)に多いのですが、高さが30cmを超えるような大きな梁になると、
外周の空気に触れる部分から、中央部までの距離が長くなってしまうため、
どうしても乾燥が甘くなってしまいがちです。
そうなると、強度不足、割れ・
反り等の増加などが発生しやすくなってしまいます。

これらの欠点を改善するために生まれたのが集成材です。
これは例えば12cm×30cmの梁を作る場合通常一本の大きな木の周囲を
切り取ってこういう材を作る(これを集成材に対して無垢材といいます。)ので
すが、集成材の場合は12cm×3cm位の薄い板を10枚張り合わせて同じ大
きさの梁を作ります。こうすると、一本一本の材は小さいので中のほうまで
乾燥が行き届いているのと、木目の方向を互い違いに張り合わせるので、
ほとんど狂いが出ません。

例えば同じ樹種でも無垢の木の場合はその木に
よってばらつきが大きく上下20%程度のばらつきは考慮する必要があります
が、集成材の場合は5%以内位の、品質のばらつきを抑えることが可能にな
るので、構造計算等は非常にやりやすくなります。
最近木造建物でも体育館
のような大きな建物でも木造が使われるようになってきましたが、その場合
はほぼ間違いなく集成材が使われています。それぞれの特徴をまとめると
次のようになります。


無垢材


○張り合わせたりしていないので見た目がきれい。
○接着剤等使用しないのでシックハウス対策上心配が少ない。
×含水率が高くなりがちである。
×割れ・反りなどの狂いが生じ安い。
×集成材に比べると品質のばらつきが大きい
×長さ4m以上、高さ30cm以上の材料になると単価が高くなる上に
あらかじめ言っておかないと手に入りにくい。

集成材


×張り合わせているので見た目が無垢材に比べると劣る。
 (但しモダンな感じを狙う場合には逆にいいこともある。)
×接着剤を使用するので、無垢材に比べるとシックハウス対策上不安が
  ある。(ほとんどの集成材が最高等級の4☆をとっていますが、あくまで
  無垢材と比べたときの話)
○含水率を低く抑えられる。
○割れ・反りなどの狂いが生じにくい
○無垢財に比べると品質のばらつきが小さい
○大きさに関わらずあまり単価が変わらない。また手に入りやすい。

以上のようにそれぞれ長短がありますが、私の場合の使い分けとしては
住宅のように特別大きな空間を要しない場合であれば無垢材をお勧め
し、大き目の施設等には集成材を利用するようにしています。

いろんなことを説明しましたが大きく分けると次のようになります。


簡単にいうなら右下にいくほどデザイン重視
左上に行くほど強度重視ということになります。
ただし先ほどもいいましたが、普通の住宅ならきちっと設計施工されれば右下の
工法でも全く問題ありません。


次に木材の価格についてですが、
「木を見せるような家は高いんじゃないの?」
と思われている方がたくさんいらっしゃいます。

ある程度ご年配の方に多いのですが、
「節のないヒノキだけが表に見せられる木だ!」に近いような考え方の人が
いらっしゃいます。昔の方は特にどんな木を使うかによって家の良し悪しを
決めていたような所があります。だから年配の方には若い設計士など顔負けの
木材通の方がたくさんいらっしゃいます。
確かにこのような方にとっては木を
見せる木造というのは、木造というのはものすごく高くつきます。ただこの
条件を外してやると木材はそれほど高価な物ではなくなります。 


ではまず「節」についてお話します。


節というのは木の枝の部分であって木が木であるかぎり節があるのは当た
り前なのです。じゃあなぜ節がない木があるのでしょうか?それは木がわか
いころから枝ができるとその枝を落として行くという気の遠くなるような地道
な作業が行われているからです。当然高価になります。別に節があるからと
いって構造的に問題があるわけではありません。住む方が節を許容する。こ
れだけでコストは確実に下がります。


次に「ヒノキ」です。


確かにヒノキは素晴らしい木材です。昔から最高の樹種といわれているの
も当然です。なぜなら、強度、腐りにくさ、防蟻性、香り、見た目等いろんな
面で優れているからです。その代わりに成長も遅く、高価です。しかもヒノキ
が生えた後の土は栄養分を吸い取られてしまいます。


ただし日本には他にも優れた木はたくさんあります。
私がよく使う木材に「杉」があります。ヒノキより価格も安く、腐りにくさ、防蟻
性、香り、見た目などはヒノキに負けず劣らずで、強度に関してはその分材
料の大きさを少し大きくしてやれば問題ありません。

又、材料が供給過剰な側面もあり、それを有効に使うことは環境の保全
という意味でも非常に重要な役割を果たすと思います。
外国の木材の輸入
量が増えている中で、日本の林業はどんどん縮小傾向にあります。ご存知の
とおり森には二酸化炭素を吸収して酸素を作ったり、雨水を吸収して洪水を
防ぐ効果があったりします。それらを維持していくには、林業家の方がきちん
と働いていけるようにしなければなしません。

私が好きな言葉に「地産地消」という言葉があります。食事もそうですが、
その地で採れたものを食するのが体にも環境にも、もっとも良いという
考え方です。木も食べ物と同じ生き物である限り、同じような環境で育
った木のほうが、体にも心にも優しいような気がします。

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